ハルビン・カフェ 打海文三

主人公(というか話の中心にいる人。って主人公かやっぱ)が悪人という異色作。
悪人といっても吉田修一の悪人みたいに感情移入できない正真正銘の悪人。

そうよね、主人公が善人じゃないといけないって決まりはないのよね。
でもなぜか世の中にはそういう作品が多いわけで。
流されてました、私。深く反省します。

で、めちゃめちゃおもしろい!
ハードボイルドっていうジャンルになるんだろうと思う。
架空の都市の話だけど巧妙に重厚に話ができていて突っ込むところがない。
この話を考えて、しかもおもしろく書くって相当すごいよ!
圧倒されるってこういうことかーと思う。
人間関係が複雑で名前も覚えにくいから何回も前に戻って読んだけど
それさえも喜んでそうさせてくださいってくらいおもしろい。
個人的に登場人物の関わりがあとからどんどんわかってくる小説って好きだな。
最後の最後に語り手の素性が分かったときもへぇ〜と感心した。

そしてなんといっても表紙がカラヴァッジョの「洗礼者ヨハネの斬首」というセンスのよさ!
見た目だけで読みたくなっちゃうわ〜
ハルビンっていう言葉にもなぜか弱い・・・
村上春樹の影響かなー