萌の朱雀 (1997年 河瀬直美)

セリフの少ない映画は苦手だと思っていたけれども
単にこれまでのそれは私にはおもしろくない映画だっただけみたいだ。

この映画、とてつもなくセリフが少ない。
台本薄っぺらいんじゃないかな、と見ながら思ったくらい。
でもとてつもなく伝わってくる。
日本の自然の素晴らしさ、何気ない日々の大切さ、
こつこつ生きることの素晴らしさ、その土地に根付いているものへの畏敬の念、
大事な人を大事だと思う、当たり前だけど日常に埋もれてしまう感情。

まず子供二人の演技にやられる。
というかあれは演技じゃないのかな・・・?
見たあとに調べたらほとんどが素人の人みたいだ。
女の子と男の子の仲良さ加減が演技だったら二人は天才子役だってくらい
ほんとーに中がよさそうで見てるだけで幸せを感じる。
家族が揃ってる場面を見てるだけで家族っていいなーって涙が出てきて
はじめて子供がほしいと思った。
ちなみに尾野真千子のデビュー作で、監督が学校の下駄箱で彼女を見初めたらしい。
たしかに・・・素人にしては素晴らしい演技だと思う!
しかも今よりかわいい!

陰影の使い方や映像が荒いかんじ、役者の演技や表情が平板なことなんかが
すごくいい影響を与えてると思う。
ランドセルに何個もお守りがぶら下がってるとこなんか、にくい!
小学生の時はもらったお守り下げてたもんなー
効力が一年なんて知らないから増えるんだよね。

河瀬監督は奈良県出身。
地元を愛してるってことがすごく伝わってきた。
最初に森の青々した緑を見たときは舞台になってる西吉野村に行こうと思ったけど
まずは福岡県のいいところを旅してみようと思った。

最後に、どなたかがこの映画の感想をブログに書いているなかに
「登場人物全員が笠知衆状態」とあって、まさに!と笑った。